#132 醜い民藝? ─『神経美学』(石津智大・著) 2/2
Description
「恐ろしく不快な絵を描く男」
マーガレット・サッチャーはベーコンの絵画を評してそう言ったそうです。
このような「醜い芸術」についても『神経美学』では触れられています。
それでは、「醜い民藝」ってあるんでしょうか?
全二回。後半です。どうぞ!
おたよりぜひ! 今月、お題を設けています。
【今月のお題:〇〇し損なったこと】
https://forms.gle/TKUVLHgriYwSjd8G6
・・・・・下記、かけちがえたボタンさんからのおたよりです・・・・・
朝倉さん・さっきーさん・中島さん、はじめまして。
「ちぐはぐ学入門」いつも楽しく聴いています。いつの間にか4週していました。
いつか書こう、感想を送ろうと思っていたのがのびのびになり、「#126 ファミレスと4月」でお便りに触れていたのを聴いて思い立ち書き始めました。
初めてラジオに感想を送るのでドキドキしています。
繰り返し聴いていますと自分自身のちぐはぐを探し始めて、見つけたちぐはぐが「かけ違えたボタン」でした。いつもと異なったズレたシャツ模様、段差になったシャツの裾が「かけ違えた」というちぐはぐの予感を伝え、このまま突っ切って予感を跳ね除けるのか、それとも従って最初からかけ直すのか選択が浮かんで来ます。
そんな時にいつも私はかけ直しますが十中八九その予感は正しいようです。
この予感そのものが私にとってのちぐはぐでした。
「ちぐはぐ学入門」を聴いていなければ言語化しなかった感覚だと思っています。
さて、私も皆さんのおすすめする本を手に取ってきました。私も1冊の本をおすすめすると同時にひとつの問いを投げかけさせていただきます。
「神経美学:美と芸術の脳科学(共立スマートセレクション)」渡辺茂さん、石津智大さん著の本です。
医療科学の発達により、脳についてさまざまな研究が飛躍的に進んでいる現在で「人の美は主観か?」という問いに少なからず答えている本です。
私がこの本が好きなのはこの本での美の着眼点が芸術だけでなく、人の倫理的な行動による美しさについても言及している点です。
この本によると視覚情報を処理する脳領域の付近に「美」を感じる領域があるそうです。音楽・建築・工芸品・彫刻などなど皆さんも少なからず視覚的な芸術の「美」に魅せられている方々と認めつつ、ここで問いをひとつ。
「その美は主観ですか?」
私自身、最近は種々多様なアートを鑑賞する機会が増えました。場所・作家・評判、あらゆる背景を吹き飛ばした自分の目で見る純粋な評価。評価を下すその瞬間はきっとちぐはぐでもないでしょう。過程がちぐはぐか、評価基準がちぐはぐか、どちらにせよ下る評価は「美」か「それ以外」になると思われます。
ただ科学技術がすでに「その美が脳的に主観か客観か判断ができるようになっている」とだけ言えるのです。主観的には「美」であるはずが口から出る評価が「否」である場合には客観や吹き飛ばせなかった背景に濁された評価だと言えてしまう現代が訪れました。
我々も自我を作る脳を抱えておりますが脳そのものは我々の自我ではないようです。
これもまたひとつのちぐはぐだと思ったので書きました。
長文、失礼いたしました。
健康には気をつけて無理のないペースで学究に励んでください。
これからも皆さんのラジオを楽しみにしております。
追伸:誤字がないか確認していたところ、「美だけが芸術じゃないけどね」と微笑む朝倉さんと「まあ、そうですね」と応じるさっきーさん、淡々と「で、どうですか?」と尋ねる中島さんが思い浮かび、ニヤついた朝に送信ボタンを押す事にします。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
正しいボタン穴を探す「かけ違えたボタン」でした。